「シェゾってさぁ、受けだよね」
ずっと(魔力を)狙ってきたアルルにそう言われ、シェゾは思わず飲んでいたお茶を噴き出した。
+俺の嫁争奪戦+
「・・・今日言いたいと言うことはそれなのかアルル」
「まぁ、それもあるけど、シェゾって誰が好きなの?」
シェゾは口を拭いながら眉をひそめてアルルを睨んだ。アルルはあくまで純粋な目でシェゾを見てくる。シェゾはしばらく黙った後答えた。
「別に居ないが」
「えー!好きな人持ちなよ!なんなら僕がなってあげようか?」
「待った!」
「?」
アルルが勢いよく立ち上がってシェゾに迫った時、ドアが勢いよく開かれた。そこにはサタンとシグとレムレスが居た。
「わ、どうしたのサタン!こんな所まで来てへんたーい」
「アルル、私達にだってシェゾをもらう権利はあるのだぞ」
「待て貴様ら」
「ここは公平にアピール対決をして、本人に決めてもらうべきだろう」
「おい」
「まぁ・・・そうかもね。いいよ!その勝負受けて立つ!」
「人の話を聞け」
シェゾは苛立たしげに立ち上がって一歩後ろ人下がって言いたい事を存分に吐いてやろうと息を吸い込んだ。その時、ふっと目の前に飴が出された。シェゾは息を吐くだけで終わってしまい、目の前のレムレスを睨んだ。
「なんだコレは」
「飴をあげるよ。シェゾ、愛の印だ」
「はぁ?」
「愛してるよ」
「笑顔の変態は無理だ」
シェゾが真顔で断るとシグが抱きついてきた。シェゾがよろめいてシグを睨む。シグは無表情だが目を輝かせてシェゾに巻きついている腕の力を強めた。
「好きだよ、僕の元においで!」
「虫好きに言われた所で説得力が・・・」
「シェゾ虫っぽいから僕シェゾ愛せると思うんだ!」
「やっぱりな!この虫オタめ!」
「駄目だな、シグ。いくらそれが本音でもそれは隠さないと」
サタンはシグを引き剥がしシェゾを引き寄せた。腰に手が回りがっしりと固定されてシェゾとサタンの距離が縮まった。シェゾが思いっ切り嫌な顔をする。
「お前に私の愛をくれてやろう。どうだ?嬉しいだろう?」
「今すぐその手を離せ変態野郎。てめぇみたいなたらし男こりごりだ」
「またお前はそういうツンデレ具合が可愛いなぁ」
「・・・・・・・・」
シェゾがサタンを殴ろうと拳を固めた時、ドアの方で物音がした。皆がそっちを勢いよく向いた。そこにはドアの枠に寄りかかった、普段は優等生気取りの本に収まっている人物が呆れたようにこっちを見ていた。
「お前達、一体シェゾをまわして何してるんだ」
「怪しいクルーク!」
シェゾは怪しいクルークの背中に回りこんだ。サタン達が文句を言う。
「割り込みとは卑怯だぞ!ちゃんとたい決してだな・・・」
「大体シェゾは!?あやちゃんなんかでいいの?」
「う・・・」
シェゾはアルルの言葉でちらりと怪しいクルークを見た。怪しいクルークは興味がなさそうに前を向いている。こいつなら・・・無害かも知れない・・・。
「こ、こいつがいい」
「えぇー!」
「ふん。何がどうなっているか分からんがシェゾが俺を選んだようだな。じゃ、こいつは借りていくぞ」
そういうと怪しいクルークはシェゾの肩を持ちさっさとアルルの家を出て行った。
++++++
「で?さっきのは何だったんだ」
「は?あぁ・・・なんか俺をめぐる取り合いだったようだ」
「ほぅ。それでお前は俺が良かったのか」
「お前だと、無害だろうと思ったんだ」
「・・・・随分と舐められたものだな」
「は?」
「・・・・なんでもない」
=END=